一橋大学社会学部卒業。フューチャーシステムコンサルティング(現・フューチャーアーキテクト)、ベンチャーキャピタルを経て、株式会社ジェイアイエヌに入社。現在、執行役員経営企画室長。
この会社の社員全員は、本当に前向きです。
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執行役員経営企画室長 冨田 晋輔 氏
メガネ業界のユニクロを目指す
株式会社ジェイアイエヌ(以下、JINS)の事業について教えてください

「メガネ業界のユニクロ」というのが、最も分かりやすい説明だと思います。自社でJINSというオリジナルブランドのメガネを企画し、海外の協力工場で製造し、直営の店舗で販売しています。いわゆるメガネのSPA(製造小売業)というビジネスモデルですが、モノ作り、売り方、マーケティングなど、多くの点で、ユニクロを目標、そして参考にしています。
「メガネ業界のユニクロ」というコンセプトは分かりやすいですよね。冨田さんから見て、ユニクロのSPAの強みとJINSの強みにどのような共通点があるとお考えですか
戦略的に企画された商品を大量に作りこみ、それを在庫コントロールしながら売り切る、というやり方ですね。JINSが展開するエアフレームに関しても、相当前から、デザインや素材などの企画をスタートし、どれくらいの数量を販売するかを決め、それを売り切っていくという点で良く似ていると思います。
メガネ業界はここ10年で、本当に大きく変化していますよね。冨田さんは業界の変化をどう見ていますか
これはメガネ業界に限らない、小売業の各業界単位での成長の歴史についての話になります。最初に個人商店が存在し、地域で支持される中でその地域に浸透していきリージョナルチェーン化していきます。その中でより力のあるプレーヤーが全国規模の展開を行い、ナショナルチェーンへと発展していきます。最終的にはその業界を覆すような、まさにユニクロのようなカテゴリーキラーが出現・台頭し、グローバル化していきます。
そういう一般的な発展パターンと照らし合わせてみると、メガネ業界は小売業の中でも一番遅れていた業界と言えたかもしれません。これまで、ナショナルチェーンはあったのですが、カテゴリーキラーと言える存在がありませんでした。今までの競争ルールを変える我々のようなプレーヤーが台頭し始めたのがここ7~8年ほどです。
現段階での御社のお強みは何ですか?

大きくは四つです。
1.は価格です。JINSの価格改定が業界に与えたインパクトは相当のものだったかと思います。これまでのメガネは、一見低価格に見えても、例えば非球面薄型のレンズのような良いレンズを入れると、万単位で購入価格が跳ね上がってしまうのが常識でした。しかし、JINSではフレーム・薄型非球面レンズ・ケースとセットで、値札通りの価格でお買い上げ頂けるというニューオールインワンプライスを実現しています。
2.は商品企画力です。我々は単なるディスカウンターではありません。素材や機能にも強くこだわっています。それが現在の主力商品である、エアフレームです。わずか10gという軽さ、曲げても折れないしなやかさを持つ機能性と、元来のJINSの強みであるファッション性も同時達成できたことが強みだといえます。
3.はSPAとしての仕組みの強さです。在庫コントロールをはじめとした、企画して作って売るまでの一連のバリューチェーンの最適化を追求しています。
4.は店舗オペレーション力です。メガネの店舗では、お客様がフレームを選ぶだけでなく、度数を測定したり、レンズをフレームに合わせて削って組み立てたり、お客様に合わせて調整したりといった通常の小売業にはない、いわば各店舗が小工場とも言えるようなプロセスがあります。いかに現行の限られたスペースの中でやれるかどうかを考えた結果、マクドナルド・スターバックス等の優れたチェーンストアを参考に、トヨタ出身の方を顧問に迎え店舗オペレーションの改革・カイゼンを行いました。まだ道半ばですが、お客様にストレスが掛からない、流れるような購買が可能な店舗の実現を目指しています。最近できた八重洲店や新宿店はそのモデル店ですので、是非、ご覧になってください。
世界で勝てる企業へ
材料の仕入れから企画、生産、流通、店舗の全てをコントロールできるという点で、SPAというビジネスはやりがいがありますが、大変ですね
もちろん大変です(笑)。しかしながら、メガネのSPAというビジネスモデルを本当の意味で構築している企業は世界でもまだ実質的には存在していないと考えています。それを自らの手で作り出せる感覚は、なかなか得がたいものと思っています。もちろんうまくいかないこともありますが、やればやっただけお客様の反応が頂ける状況ですし、こういうチャレンジが出来る環境はなかなか無いと思います。大変ですけど、間違いなく楽しい環境です。
今後、JINSはどのような成長戦略をお持ちですか

2つの方向性があります。1つ目が現在のモデルの延長線上にある展開です。我々はまだ100店舗にも満たないプレーヤーですが、国内だけでもあと200店舗は出店できると想定しています。海外進出も当然視野に入れており、中国瀋陽での海外一号店出店を皮切りに、まずはアジア市場を取っていきたいと思っています。
2つ目は機能性商品による新市場分野の開拓です。日本国内におけるメガネの市場規模をみると、10年前の約6000億円から現在は4000億円を切るまでに縮小しています。その中で競争していても、血みどろの戦いになってしまうだけです。我々は、自社の成長だけではなく、市場全体を引き上げたいと考えています。
一般的なメガネの現在の位置づけは、やはり視力矯正具です。我々はそこにファッションという切り口を提案してきましたが、さらに目に何らかの機能を付加するものとして捉えると、まだまだ拡大の余地があります。例えばUV対策がその一つです。外国人は生まれつき紫外線に弱く、まぶしさに弱い人が多いので、日常的にサングラスやUVカットのメガネを使用しています。しかし、日本人はまぶしさに強いことから、紫外線にも強いと思われていて、これまでこうした対策をしてきませんでした。しかし、実際はそれほど紫外線に強いわけではなく、角膜炎や白内障、翼状片などの目の疾患につながることが分かっています。メガネをこうしたリスクから目を守るツールとして捉えると、新たな市場が顕在化するのではないかと考えています。他にもいろいろな切り口で機能を提案することにより、メガネ市場をより拡大していけると考えています。 具体的な取り組みの一つとして、機能面での強化に向け、「脳トレ」で有名な東北大学の川島隆太教授の指導のもと、商品開発を開始しているところです。
ジェイアイエヌという会社は見方によってはいくつかの側面を持っているように思えます。ベンチャー企業でもあるし、既に上場企業でもあります。そして、業界のリーディングカンパニーでもあれば、チャレンジャーにも見えます。冨田さんが感じてらっしゃる自社の位置付けを教えてください。
我々はリーディングカンパニーであり、同時にチャレンジャーであると思っています。メガネのSPAという意味では、世界でもエッジの立ったビジネスだといえます。JINSレベルの高機能メガネを薄型非球面のレンズをつけて4,990円という価格で売っている会社は他にありません。そういう意味ではリーディングカンパニーといえなくもないですが、世界にはメガネ関連事業で売上高7000億円の企業もあることを考えると、その点では間違いなくチャレンジャーです。オンリーワンではなく、ナンバーワンになるためのチャレンジャーだと思いますね。 ナンバーワンになるためには、現在の仕事のやり方をどんどん作って、どんどん変えていく必要があります。徹底してアグレッシブなチャレンジャーであり続けなければならないと考えています。
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