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転職実績・企業インタビュー

自らに期待し、本気で世界を変えていくというチャレンジ

写真:神保 拓也 氏

ロゴ:株式会社ユニクロ/株式会社ファーストリテイリング人事部採用チーム 神保 拓也 氏

大学卒業後、三菱東京UFJ銀行、プライスウォーターハウスクーパースの事業再生チームを経て、次世代リーダー候補としてファーストリテイリングに入社。人事部門に配属され、次世代リーダーを中心としたキャリア採用およびグローバル人材の採用に関する企画・実行に携わる。

大手都市銀行、外資系コンサルティングファームで経験を積んだ神保さんがファーストリテイリング(以下FR)に入社するまでの経緯を教えてください。

写真:神保拓也 氏

少し遡ることになりますが、学生時代に読んだ本の中で「自分と同世代の青年でも自国の字を書いたり読んだりできない人がいる」という事実を知り、強い衝撃を受けました。また同時に、何か自分にも具体的にできることはないかという衝動に駆られ、実際にその国に赴き、学校建設の国際ボランティアに参加した経験があります。若くて単純だったからこそできたことかもしれませんが、ここでの体験が私の人生の方向性を決める気付きをもたらしました。「日本は自分の人生を自分の努力次第で切り開いていける稀有な国であり、世界で最も平和で、世界屈指の経済大国で、高等教育も受けられ、歴史と文化を持つという世界に誇れる素晴らしい国」ということです。私がボランティアで見たものは、生まれた国や土地によって自分の人生の殆どが決まってしまうという人たちでした。また同じ日本でも少し前までは戦時中であり、自分の人生を自分で選べない時代だったということを考えると、今という時代に日本で生まれ育った私は奇跡的に恵まれた人間なのだということに気付かされたのです。

この原体験をきっかけに、まずは一度きりのこの人生を流されて生きるのではなく意志を持って毎日を一所懸命に生きようと決意し、その上で自分のためだけではなく、世の中のためになるような生き方をしたいと考えるようになりました。そのような想いから、大学卒業後はボランティア関係の道に進むということも選択肢の一つとして考えましたが、自身の体験から、ボランティアという社会貢献は、「お金」「時間」「気持ち」という3つの余裕がないと継続できず、また世界規模で取り組むには様々なハードルがあり時間が掛かり過ぎると感じていたため、「ビジネス」の世界で経営者として「世界を元気にする仕組み作り」を担う事で世の中に貢献したいとの考えに至りました。大学卒業後の就職先として大手都市銀行を選んだのは経済活動に必要不可欠なお金の流れを学べることに加え、若いうちから多くの経営者に会えると考えたためです。その後、より経営というものにフォーカスするためにコンサルティングファームに移り、事業再生という業務を通じて得難い多くの経験をさせていただきましたが、それと同時に学生時代に抱いた「世界の役に立ちたい」という想いが、改めて大きく膨らんでいくのを感じていました。

実は、前職で同じプロジェクトを担当していた先輩がコンサルタントから政治の道に転進されたこともあり、私自身も本気で政治家になることを考えた時期もあります。ただ、これだけ世の中でグローバル化が叫ばれる時代においては、一つの国よりも、高い志を持った一つの「企業」の方が世界を変えることができるのではないかと考え、世界的規模でビジネスを展開している企業の経営者になり、事業を通じて世界の元気に貢献することを私の「使命」として位置付けるようになりました。

その後、学生時代の衝撃的な原体験やこれまでのビジネスでの経験を通じて、より高まってきた「世界の役に立ちたい」という想いを、年齢・性別・国籍・宗教も超えてあらゆる人々の文化に直接関わることのできる「衣食住」という分野でなら実現できるのではないかと漠然と考えるようになっていきました。

「世界規模の経営者」×「衣食住」

という最もスケールの大きなフィールドで世界をより良くしていくことができれば、この国のこの時代に生まれた自分の使命を果たせるのではないか、一度きりの人生であれば良い意味で「一生を棒に振るような仕事」をしてみたい、と思うようになっていったのです。

30年弱かけて、様々な原体験からこの人生観に辿り着き、その人生観を体言する場を渇望していた時に出会ったのがFRです。FRの企業理念は「服を変え、常識を変え、世界を変えていく」。まさに私の使命そのものと感じました。この企業理念に強く共感するとともに「求めている環境が他でもないこの日本にあった」という事実を素直に嬉しく思いました。そういう意味ではFRに転職したというより「私の人生の流れのなかで、2010年にFRという存在に必然的に出会い、繋がった」という感覚の方が正しいと思っています。

大手銀行・コンサルティングファームから転職してみて、事業会社ならではの「商売の魅力」を実感しますか 。

写真:神保拓也 氏

はい、日々実感しています。

FRに入社後、上司の計らいもあり、約一カ月に亘り直接お客様と接する店舗業務を経験させてもらったのですが、その時、FRの事業を支える「核」となっているものが何なのかを知る機会がありました。私が店舗で接客をしている時のことです。あるお客様が黒色の帽子を手に取りながら、「茶色の帽子は置いてないですか」と私にお尋ねになりました。店頭に在庫がなかったため、お客様に「倉庫の在庫を確認してきますので、5分程度お待ちいただけますか」とお伝えし、すぐに在庫を確認しに倉庫に向かいました。

しかし、店舗勤務初日に店長やスタッフからは倉庫内の各商品の在庫保管場所について説明を受けていたものの、いざお客様をお待たせしている状況になると焦ってなかなか商品を見つけることができず、倉庫内を右往左往することになってしまったのです。商品を探し始めてから3分以上が経過し、いよいよまずいと感じ始めた時に、近くをある女性のスタッフが通りかかりました。そのスタッフに帽子の保管場所を尋ねたところ、ものの数秒で商品を探し出し私に笑顔で手渡してくれました。急いで商品をお客様のところにお持ちし、「お客様、よかったです!在庫がありました!!」と今思えば恥ずかしく思えるような大きな声でお伝えしたところ、「帽子の形も気に入っているし、何より一生懸命に対応してくれたから黒と茶色の両方を買っていくよ」とおっしゃってくださったのです。この帽子の単価は1,990円です。この帽子が2つ売れたといっても1,990円の売上が3,980円に変わっただけではないか、と思われる方もいらっしゃるかもしれません。しかしFRグループの8,200億円という年間売上(2011年8月期)はこういった最前線で働くスタッフ一人ひとりが毎日、全世界でお客様のニーズに応え続けて初めて生み出せるものなのです。少し大袈裟な表現かもしれませんが、お客様のニーズに応えることで利益を頂戴するという「商売」というものを身をもって経験した瞬間でした。

また、2011年の一大イベントにもなったユニクロの世界最大のグローバル旗艦店、ニューヨーク5番街店出店での経験も小売業の魅力を語る上では外せません。当時私はヘッドクォーターの人事として、1,200名規模の店舗スタッフの採用をミッションとしていました。そのためオープン当日も現地で仕事をしていたのですが、世界が注目するこのニューヨーク5番街への出店がもたらしたものは、決して話題性のみではなく「ユニクロの服が世界で買われていく」という事実でした。オープン前には約2,000人ものお客様の行列ができ、世界のファッションの中心地であるニューヨーク5番街が「ユニクロ」で溢れかえっていました。家族連れのお客様がたくさんの商品が入ったユニクロの紙袋を持って信号待ちをしながら中身をうれしそうに覗いている風景や、ティファニーやルイ・ヴィトンの紙袋と一緒にユニクロの紙袋を持って楽しそうに歩いているカップルのお客様を目の当たりにしたときに、胸に込み上げてくるものがありました。やはり嬉し涙でも悔し涙でも涙の出る仕事はいいですね。私はグローバル人事という立場上、世界各国に出張に行く機会が多いのですが、ニューヨークだけでなくアジアなどの地域でも同じ光景を目にしています。世界中の人々にユニクロの服が受け入れられ始めている。今は、自分が描いた夢に少しずつ近づいていることを実感し、世界中で同じ風景をもっと見たいというモチベーションにつながっています。

この一年で、FRはどのような変化を遂げましたか。

写真:神保拓也 氏

一年前のFRは「これからグローバル企業になるぞ、挑戦するぞ」という、まさにグローバル宣言の年で、私もその勢いにワクワクしていたのを覚えています。そしてその宣言からちょうど一年たった今、言語や働き方の問題はもちろんのこと、生産、流通、在庫管理、マーケティング、販売といった商売に関わる全ての分野でグローバル化に伴う課題に直面しています。

これは、FRにとってグローバル化というものが概念だけではなく、実行段階に移ったことを意味していると思います。これから先はもっと苦労するでしょう。但し、最初からグローバル企業だった会社など1社もありません。むしろ本気でグローバル化にチャレンジできる環境こそ、FRで働く魅力そのものといえるのかもしれません。

神保さんにとっては、事業会社での仕事も、人事という職種も、グローバルというフィールドも、すべて初めての経験ですよね。入社前には想像もしていなかったのではないでしょうか。

はい、一年前に今の自分の姿は想像すらしていませんでした。正直、面接を受ける前までは、FRに入社できたらこれまでの経験を活かしてまずはグループ会社の事業再生のような仕事に携わるのかなと漠然と考えていました。それが、面接をしていく中で会社側から打診されたポジションは全く未経験の人事部門でしたからね(笑)。意外ではありましたが、元々人事という仕事には興味がありましたし、また新たな分野にチャレンジできるというワクワクする気持ちの方が強かったですね。

ただ、この一年はやはり大変でしたね。新しい会社で未経験な分野、その上たいして英語も話せないのに仕事のフィールドはグローバルですから。まさに三重苦でした。また、即戦力として期待されている次世代リーダーというポジションにプレッシャーも感じていました。ただ、事業を前に動かす上で、「ちょっと待った」はナシです。「経験がない」、「日本語だったらうまくできるのに」、といった言い訳をしても何も状況は改善しません。自分の使命に従って生きていくことを決めているからには、諦めることを諦めなくてはならない。無理だと思うことも、何とかして成果につなげることが仕事だ、といつも考えるようにしています。

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