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プロコミットの採用サポート

【2014年度版】グッド・ビジネス (Good Business)

グッド・ビジネス(Goog Business)|成長企業の採用論

岩本:
今年度は、昨年度の受講生全員で策定した定義ををベースに多くの企業のケーススタディを行い定義のアップデートを試みた。昨年度策定した定義は以下である。

  1. 社会的受容度の高い理念をもっている
  2. 圧倒的強みがビジネスモデルにビルトインされている
  3. ステークホルダーサティスファクションが実現されている

1.の理念については、今年度もさまざまな議論を行った。「理念は重要である。」という話はさまざまなところで聞く。一方、「理念はがなくても成長している会社はある。理念のようなきれいごとを言うよりビジネスモデルを創ることの方が重要である。」という意見も本音のところではよく聞かれる。おそらくどちらも正しいのであろう。議論を重ねた結果、重要なことは、理念が経営のツールとして活用され業績に反映されていることであり、理念-ビジョン-戦略-オペレーションが連動できていることであるという結論に至った。

2.のビジネスモデルについては、グッド・ビジネスの3つの要素の中で最も優先順位の高い要素であるという結論に至った。加えて、ビジネスモデルが永続することは何よりも重要なことであるが、より具体的には、ビジネスモデルを創造したり、革新したりする「経営力」や「組織力」が重要であり、それらの力が弱くなった時はビジネスモデルの永続性も弱くなる。

3.のステークホルダーサティスファクションについては、全てのステークホルダーが重要なことは勿論であるが、より従業員に重みを置きたいという意見が多かった。会社に対し最も長い時間を費やすのは従業員であり、従業員が誇りをもてる、また退社した後も「良い会社だった」と思えることが本当の意味でグッド・ビジネスなのだろうということである。

以上のような議論を積み重ねた結果、グッド・ビジネスの定義を以下のようにアップデートした。
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【グッド・ビジネスとは】
1.ビジネスモデルを創造・革新できる経営力・組織力がある
・ビジネスを積み重ねることでアセットが積み上がり、他社との差がより開く ・積み上がったアセットをベースにトランスフォメ―ションができる
2.社会的意義の高い理念をもち、理念-ビジョン-戦略-オペレーションが連動できている
・理念が経営のツールとして活用され、業績に反映されている
3.従業員やその他のステークホルダーが誇りをもてる
・就業中だけでなく、退社した後も"良い会社"だったと思える
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「3つの要素をバランスよく揃えるのがいいのか、あるいは、どれかの要素が突出しているのがいいのか」、「どういう順番で3つの要素を備えていくべきか」といったことが積み残し論点となったが、これらの論点は更なるケーススタディを積み重ねることで明確にしていきたい。

清水:
岩本先生が、昨年から研究テーマとしている「グッド・ビジネス」。その定義がKBSでアップデートされました。私は、敢えて「成長企業」の観点からこのアップデートを考えてみました。

主な変更点は、以下の3点だと読み取りました。

A)現時点でのビジネスモデルではなく、モデルを創造・革新できる経営力・組織力に着目したこと

B)理念の「有無」ではなく、「活用度」に着目したこと

C)ステークホルダーの中でも、従業員の優先順位を上位に置いたこと

グッド・ビジネスの定義は、必ずしも成長企業を対象として定義されたものではありませんが、より成長企業の実態に近づいたと考えています。その前提に立ったうえで、A、Bには賛成、Cにはまだ議論の余地があるのではないかと感じています。

A)現時点でのビジネスモデルの出来ではなく、モデルを創造・革新できる経営力・組織力に着目したこと
賛成です。成長企業は、試行錯誤、A/Bテストの連続です。ビジネスモデルもピボットしていきます。その時点でのビジネスモデルの「形の良さ」で、グッドorバッドを判断することは見方として短期的すぎるといえます。DeNA、グリー、mixiをある時点でのビジネスモデルでグッド・バッドと判断することは、おそらく不適切でしょう。その点で、現時点でのモデルの良し悪しではなく、モデルを創造し、革新し続ける経営力・組織力に着目し直したことは大きな前進だと思います。

B)理念の「有無」ではなく、「活用度」に着目したこと
これも賛成です。理念が明文化され、ウェブサイトに掲載され、唱和されていたとしても、社員の日々の行動において判断基準となり得なければ意味がないからです。成長企業の採用現場でも、「御社の理念に共感しまして」「御社の理念は何ですか」といったやり取りがなされますが、そこで回答される言葉よりも、それが実際の事業の中でどう具現化されているのか、実際のメンバーの行動規範としてどう使われているのかに着目することに意味がありそうです。

一方、以下のCについてはまだ議論の余地があると考えています。

C)ステークホルダーの中でも、従業員の優先順位を上位に置いたこと
ステークホルダーの中に、「顧客」がいるとすれば、「顧客よりも」従業員を上位に置く理由について、より一段深い考察が必要かと思います。 「ES(従業員満足)が先。その結果として、CS(顧客満足)がある」という言葉には非常に説得力があり、否定しません。しかしながら、「CS(顧客満足)の対価として売上が立つのだ。売上こそが、ES(従業員満足)の前提であり主要原資である」という側面を踏まえた議論が必要です。ビジネススクールの学生が、最も感情移入しやすいステークホルダーが従業員だということであれば、そのバイアスを踏まえたうえで再度、議論を深める必要があるのではないでしょうか。

私は昨年に続き、岩本先生の授業で特別講義を担当し、KBSの学生とディスカッションをしてきました。「グッド・ビジネス」という骨太なテーマを、追い「続ける」ことに非常に意味があると思います。それは、「成長企業の採用論」の観点からも大いに興味深いことなのです。



成長企業の採用論

岩本 隆

岩本 隆|慶應義塾大学大学院 経営管理研究科特任教授

東京大学工学部卒業。UCLA博士課程修了(Ph.D. in Materials Science and Engineering)。モトローラ、ルーセント・テクノロジー、ノキア、ドリームインキュベータ(執行役員)を経て、2012年より現職。成長企業の戦略論、新産業創出に関わる研究を実施。

清水 隆史

清水 隆史|株式会社プロコミット 代表取締役社長

早稲田大学法学部卒業。ベンチャー企業の経営企画室長としてIPO達成後、ドリームインキュベータに入社。企業の成長戦略、資金調達、組織改革、新規事業のコンサルティングに従事。2005年より現職。成長企業の中途採用支援を行う。

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Topics: 成長企業の採用論

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